山眠り、静けさを纏った品位、ハリのある透明感。
冬に浮かびあがる植物の魅力。
掌にある植物を通して遠景にあぶり出される自然、その欠片に触れていただける機会となるように願います。
アトリエ K fleursの植物、そこから生み出された造形物。
それらに呼応するよう、RICORDOからは花器をご用意いたします。
動植物の活動が潜み、通奏低音のように響く時季。植物をコンパスに人と季節の移ろいに思いを馳せる。
その気配、応答に耳を澄ますような風景を映しだせればと思います。
皆さまのご来場をお待ちしております。
会期: 2016年12月1日(木)から13日(火)まで | 会期中7日(水) 休み
営業時間: 12〜19
在廊日: 1, 3, 4, 10, 11, 13
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“riverbero”は残響、反射、木霊などを意味するイタリア語。
静かながら野の香りを孕んだ植物、水耕栽培にお使いいただけるガラス器、古橋治人さんの花入れなどをご用意します。
その時々における自然のものが、まず、あり、それに寄り添う。植物を扱うことに、予め明確な完成品を示すことはできません。
K fleursさんは言葉を大切にされている印象があり、言葉を重ねながら企画を進めていくなかで、せめて、あいまいな輪郭を素描できればと、文を書くことになりました。私信のようなつもりでしたけれど、ぜひ公開を、と推していただきました。
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12月には、あとがきを読んでいる気持ちになる。
静けさを振り払うような慌ただしさと喧噪のなか、ふと、さみしさが背中に手を差し入れてきてひやりとする。
その根っこがどこにあるのかは知覚できないし、すぐに消える痺れみたいなものだ。
それでかまわないし、その感触に慰められもする。
12月には、まえがきが綴られはじめている。
種子、身体の奥、森深く、水湧く土のなか。今ここを支え、かたちづくる肝心なことは目に見えない。
はじまりの洞穴へは還れない。できるのは、芯から漂う香りや気配に耳を澄ますこと。
球根の内側には、折りたたまれた花が既に眠っているそうだ。
花のまえがきは未読のまま、終ぞ既読となることはない。
せめて、その予兆のかたちと重さ、手触りを心にとどめよう。いつかは世界からいなくなる、ひとりのなかにしまわれたまま、
消えてしまう記憶として。
冬にして花を想う。