story
spring water / 水谷智美 個展

 
 

「私は無名の作家です」本人はそういわれますし、有名/無名で量るなら、そうなのでしょう。けれど、これまでの軌跡と蓄積は作品に表れていて、そこには、秘めやかで健やかな自信が宿っているようにも感じます。
広く知られずとも、こんこんと湧き続けてきた地下水脈のような営み。

 

朗らかで頼れる器、ポケットオブジェなどが並びます。生命力溢れる悦び、心地よさが溢れるものになると感じています。
皆様のお越しをお待ちしております。

 

会期: 2019年4月17日(水)〜5月5日(日) *会期延長
会期中休業日: 23日(火), 30(火)
作家在廊日: 20(土), 21(日)


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展示後記


当店としては、初めて会期延長をしました。追加で作品を送って頂いたのもありますし、水谷さんの場合はこれから出ていかれる方なので、少しでも多くの方に、個展という自己紹介をご覧いただけたらなと考えたからです。

「これから」と書きましたけど、水谷さんの場合は「これまで」がしっかりあるのが不思議なバランスで、それが作品にも出ている気がします。どしっと渋さもあるんだけれど、佇まいから放たれるのは朗らかな明るさ。

  

当初、展示タイトルは、ただ個展としようかと思っていましたが、少し考えてみようかと、こちらに落ち着きました。

spring water は直訳すると湧き水という意味です。spring自体は突然出てくるものというようなニュアンスで、そこから春、バネ、泉という意味が展開されます。

春には冬が、泉には雨水、雪解け水が呼応するように、突然出てきたように感じられても、目には見えない、しかし確かに続いてきた営みはあるもので、いまの水谷さんも近いところがあるのでは、と感じたわけです。あとは、単純に響きもハマった気がして。

 

作る人と使う人の出会いや関わりが変化を続けていくなかで、その間に立つ人が出来ること、双方に差し出せるものってなんだろうと考えるわけですが、そのひとつが言葉かなと思います。そんなわけで、野暮を承知で少し解題してみました。

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